完全ワイヤレスイヤホン比較 & Jabra Elite 10 レビュー【LC3/LE Audio】
完全ワイヤレスイヤホンを新しく買いました。
購入にあたっていくつかの製品を比較したので、比較したポイントや比較結果をまとめようと思います。また、最終的に購入したJabra Elite 10の簡単なレビューも行います。
比較する製品
LC3の消費電力・レイテンシにおけるメリットやLE Audioの将来性に期待して、今回はLC3対応(予定含む)機種を中心に比較を行います。
比較するのは以下の6機種です。
- Sony WF-1000XM5
- Jabra Elite 10
- Jabra Elite 8 Active
- Sennheiser MOMENTUM True Wireless 4
- JBL TOUR PRO 2
- Technics EAH-AZ80 (LC3対応予定なし)
LE Audio / LC3とは
LE Audioは次世代のBluetoothオーディオ規格で、マルチストリーム機能、ブロードキャスト機能(Auracast)などが利用可能になります。
LC3はSBCに代わる新しい標準コーデックで、LE Audioにおける必須コーデックとなっています。SBCと比較して圧縮効率が高く、低遅延・低消費電力・高音質・高い接続安定性などの特徴があります。
広範なリスニングテストの結果、LC3は、Classic AudioのSBCコーデックと比較して、50%低いビットレートでも音質が向上することが分かっています。
重視したポイント
- LC3対応
- フィット感
- つけ心地
- ノイズキャンセリング性能
- ケースのサイズ感
音質にこだわりがないため、本記事では音質について触れません。
スペック表
WF-1000XM5 | Elite 10 | Elite 8 Active | MOMENTUM True Wireless 4 | TOUR PRO 2 | Technics EAH-AZ80 | |
---|---|---|---|---|---|---|
メーカー | Sony | Jabra | Jabra | Sennheiser | JBL | Panasonic |
対応コーデック ※1 | SBC / AAC / LDAC / LC3 | SBC / AAC / (LC3) / (LC3plus) | SBC / AAC / (LC3) / (LC3plus) | SBC / AAC / aptX / aptX Adaptive / aptX Lossless / LC3 | SBC / AAC / (LC3) | SBC / AAC / LDAC |
再生時間(ANCオン) | 8時間 | 6時間 | 8時間 | 7時間 | 8時間 | 7時間 |
再生時間(ANCオフ) | 12時間 | 8時間 | 14時間 | 7.5時間 | 10時間 | - |
再生時間(ケース含む) | - | 36時間 | 56時間 | 30時間 | 40時間 | 24時間 |
重量 | 5.9g | 5.7g | 5g | 6.2g | 6.1g | 7g |
ケース重量 | 39g | 45.9g | 46.4g | 66.4g | 73g | 50g |
マルチポイント | 2台 | 2台 | 2台 | 2台 | 2台 | 3台 |
価格 ※2 | ¥36,351 | ¥36,000 | ¥29,800 | ¥49,940 | ¥25,502 | ¥36,630 |
製品ページ |
※1 括弧内はアップデートで対応予定
※2 2024/04/21時点のAmazon、ヨドバシカメラ、eイヤホンでの最安値
主観評価
eイヤホンで実機を見に行ったときの主観的な評価をまとめました。
WF-1000XM5 | Elite 10 | Elite 8 Active | MOMENTUM True Wireless 4 | TOUR PRO 2 | Technics EAH-AZ80 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ANC性能 | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | △ | ○ |
フィット感 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
つけ心地 | ○ | ◎ | ◎ | ○ | △ | ○ |
ケースのサイズ感 | ◎ | ○ | ○ | △ | △ | ○ |
装着感・フィット感
Sony WF-1000XM5
- イヤーピースの素材的に圧迫感があり、装着感はいまいち
- WF-1000XM4と比べると改善している
- フィット感は普通
Jabra Elite 10
- 小型かつ軽量な本体で、とても軽い装着感
- イヤーピースは浅めだが、特殊な形状のおかげかフィット感も良い
Jabra Elite 8 Active
- 耳にちょうどフィットするような形状で、フィット感、装着感が良い
Sennheiser MOMENTUM True Wireless 4
- 本体サイズが大きめで装着感は微妙
- イヤーピースが耳に吸い付くような感覚でフィット感は良い
- イヤーフックが付いていてズレにくい
JBL TOUR PRO 2
- スティック部分が耳に当たるのが気になる
Technics EAH-AZ80
- 本体サイズが大きめで装着感は微妙
ノイズキャンセリング性能
製品名 | |
---|---|
Tier S | ・WF-1000XM5 |
Tier A | ・Elite 10 |
Tier B | ・Elite 8 Active |
Tier C | ・TOUR PRO 2 |
各製品のメリット・デメリット
Sony WF-1000XM5
- ✅️ アダプティブサウンドコントロール機能
- 歩行・電車内などの行動を検知
- 行動に応じてANC/外音取り込みを自動で切り替え
- ✅️ 最強クラスのノイズキャンセリング性能
- ✅️ ケースがコンパクト・軽量
- ❌️ 装着感は微妙
- ❌️ 品質面で不安あり
- WF-1000XM4のバッテリー不良問題
- WF-1000XM5でもケースのバッテリー不良の報告がある
Jabra Elite 10
- ✅️ 高いノイズキャンセリング性能
- ✅️ 快適な装着感
- ✅️ LC3plusに対応予定
- ❌️ 連続再生時間はやや短め
Jabra Elite 8 Active
- ✅️ 快適な装着感
- ✅️ LC3plusに対応予定
Sennheiser MOMENTUM True Wireless 4
- ✅️ 高いノイズキャンセリング性能
- ✅️ ファブリック素材のケース
- ❌️ 価格が高い
JBL TOUR PRO 2
- ✅️ タッチディスプレイ搭載のケース
- ❌️ ケースが重い・大きい
- ❌️ スティック部分が邪魔
- ❌️ 他機種と比べるとノイズキャンセリング性能は劣る
Technics EAH-AZ80
- ✅️ 3台までマルチポイント接続が可能
- ❌️ LC3の対応予定なし
検討結果
装着感・フィット感がとても良かったためJabra Elite 10にしました。
WF-1000XM5はANC性能、アダプティブサウンドコントロール、コンパクトなサイズ感など惹かれる点が多くて最後まで悩みましたが、品質面の不安が大きかったため見送りました。
Jabra Elite 10 レビュー
最後に今回購入したJabra Elite 10のレビューを簡単に行います。
外観
購入したのはAmazon限定カラーのマットブラックです。
ボタン部分は光の反射によって色が変わって見えます。
ボタン以外の部分はしっとりとした質感のシリコン素材になっていて、触り心地がいいです。
イヤーピースは楕円のような形状になっていて耳にしっかりフィットします。
アクティブノイズキャンセリング
アクティブノイズキャンセリングはかなり強力で、環境音や人の声を大幅にカットしてくれます。WF-1000XM4と比べても1~2段階高いANC性能だと感じました。
無音時にANCへ切り替えると5秒ほどホワイトノイズが流れる点が少し気になりました。
空間オーディオ (Dolby Atmos)
オンにすると音に距離感が生まれ、スピーカーで聞いているような広がりのある音になります。
音が散らばっていたり左右に振り分けられている曲では自然な定位感を感じられて楽しいですが、ボーカルがある曲ではボーカルにエコーが掛かったように聞こえて微妙です。
ヘッドトラッキングは初めての体験だったのですが、これを使うメリットがよく分かりませんでした。首を動かすと音がグラグラして気持ち悪いです。
遅延
Superpowered Latency Testで遅延を測定しました。
遅延 | |
---|---|
Jabra Elite 10 (AAC) | 439ms |
WF-1000XM4 (AAC) | 384ms |
スピーカー | 38ms |
AAC接続時の遅延は比較的大きいです。
音楽を聞いたり遅延補正の効くYouTubeなどのアプリで動画を視聴する分には問題ないですが、ゲームや遅延補正機能がないアプリでの動画視聴時には気になるかもしれません。
LC3コーデックでは大幅に改善すると思われるため、LC3対応アップデートに期待です。
LC3/LE Audioへの対応予定
2024/11/04 追記:
LC3/LE Audio対応アップデートは2025年第1四半期(1月~3月)に延期されたようです。
The Bluetooth™ LE Audio feature for the Jabra Elite 10 and Elite 8 Active (both Gen 1 and Gen 2) is currently planned for release in Q1 2025 and will be available as an over-the-air firmware update that is delivered via the Jabra Sound+ app.
Reddit上のJabraSupportの投稿によると、Jabra Elite 10のLC3/LE Audio対応アップデートは2024年第4四半期(10月~12月)に予定されているようです。
The LE Audio feature for Elite 10 and Elite 8 Active is scheduled for release in Q4 2024. This upcoming release will introduce support for the LC3 codec and lower latency for an improved listening experience.
最後に
Jabra Elite 10、とても良いです。